『フェア・プレイ』読了

モノクロームロマンス、フェアシリーズ第2作読みました。

フェア・プレイ フェア・ゲーム (モノクローム・ロマンス文庫) https://amzn.asia/d/0MKFGzP

 

今回はエリオットの父親の過去にまつわる話。登場人物がまた多……いんですが、とりあえず主要人物は前作と変わらずなので、そこまで苦労はしなかったかな。

 

エリオットのパパの家(つまりエリオットの実家)が全焼するシーンから始まるんですが、緊迫したこの冒頭の時点で既に、エリオットとタッカー同居してるのが分かってキャッキャと喜んじゃった。いやまあ前作読んでるんでそれは知ってたけど。やっぱ一緒に生活してるのが分かるシーンから得られる栄養ってあるから……。

 

ローランド(パパ)は無事で、でも何か隠しているような様子。エリオットがそれを問い詰める前に失踪してしまう。一連の事件にはどうやら活動家だったローランドの過去が関係しているようで……、というストーリー。

サスペンス要素は前作より抑えめで、人間関係にフォーカスした内容。行方不明のローランドを探して、父の昔の仲間たちをエリオットが訪ねて回るんですけど、老人たちから適当にあしらわれるエリオットがあるあるすぎて笑ってしまった。親の知り合いと会うとマジでこれよ!永遠にこっちのこと10歳くらいと思ってる。海外でもそうなんだ。

 

途中、エリオットがパパ関連でバタバタしてる最中に、タッカーも自分を捨てた母親と再会することになって………みたいな展開になるんですけど、このシーン本当に好き。向こうから会いたいと言われて、困惑しつつエリオットについてきて欲しいと言うタッカーも可愛いし(親ってものを知りたかったと言う理由含め)、結局会ってみたら、母親も再婚相手もいい具合に最悪で、それについてガッカリするとともにエリオットに対して嫌な気分にさせてすまないってなるタッカーも、何よりタッカーを守らなきゃ!ってなってるエリオットも、全部が愛だったな〜。

エリオットとローランドの関係を間近で見ることによって、自分にもこんな親が(もしかしたら)いるのかも、これからそういう関係になれるのかもと一瞬でも期待したタッカーの気持ちを思うと私は……泣いてしまうよ、こんなの。しかも最悪なかたちで期待を裏切られて、でも期待した自分が馬鹿だったって思うんだよね。タッカーて頭がいいから自己完結が速くて、切り替えも早いけど心がそれについていくかというとまた別問題なんだよな……。それをエリオットがちゃんとフォローしてあげてたのが本当に良かった。家族なんだって言われたタッカーの気持ちを思うと……2人、ずっと一緒に暮らしてくれ。

 

前作だと、エリオットがタッカーのことをどう思っているのか(どういう温度で好きなのか)読んだらこちらには少し見えづらくて(エリオット視点だからかも)、前作読み終えてからもちょっと引っかかっていたんですけど、ちゃんとタッカーと一生をともに過ごしたいと思ってるようでめちゃくちゃ安心したかも。なんかタッカーの執着心ばっか目立ってたから(これはエリオットが危ない目に合うせい)。

 

最後のシーン、ローランドが怒りながらもエリオットをハグして会話するシーン、めちゃ良かったな……1人の人間としてエリオットがやったことにガチでキレてるあの瞬間に、ちゃんと父親として息子にフォロー入れられるの本当に人格者すぎる。エリオットもちゃんと分かってるしさ…‥泣けるよ。あとエリオットが頑固で猪突猛進な正義漢なとこ、完全にローランドからの遺伝で笑ってしまいますね。

 

そんな感じで!次作で完結?なのかな。楽しみ

 

 

 

 

 

 

 

 

『フェア・ゲーム』読了

フェア・ゲーム』(ジョシュ・ラニヨン著)を読んだ。

フェア・ゲーム (モノクローム・ロマンス文庫) https://amzn.asia/d/fpmwc1N

 

モノクロームロマンスというジャンルを知らず、ほーん?とよくわかっていないまま読んだ。ジャンルというより欧米のBLレーベルなんですね。

参考https://note.com/shinshokan/n/n93c5155ba934?sub_rt=share_b

知らない作者の本に手を伸ばすことからとんと離れてしまっていたので、おすすめされなかったら絶対出会わなかった作品だと思う。とてもよかったです。面白すぎて一晩でほぼ一気に読んでしまったので、自分の備忘録も兼ねて感想を書いておこうと思います。

 

 

【エリオット】

本作主人公。一年半くらい前まではFBI捜査官だったが、怪我で退職し現在は大学教授。島で一人暮らし。膝の怪我(銃撃戦で負傷)を抱えてるし、控えめでおとなしい性格なのかと思いきや(イラストもブルネットの眼鏡だし)皮肉屋だし向こう見ずだし気ィ強!!!口もまあまあ悪!

気位の高い猫ちゃんみのある受けなんですが、結構周りに振り回されてたりもして、そういうところも可愛いですね。ストーリーとキャラクターの性質から仕方ないところはあるんですけど、エリオットがストレスを感じるシーン、しんどい目にあうシーンが全編通してめちゃ多くて(ミステリーの主人公なんだからそれはそう)こっちもしんどかった。

FBIを辞めたばかりという事で、本人の中でもまだ整理がついていないのが端々からよく分かるんですけど、捜査官時代の名残なのか、事件現場をふらっと単身で訪れてみたり(ミステリーなので当然危険な目に遭う)、真っ暗な夜道を思いつきで1人歩いてみたり(ミステリーなので以下略)、あ、危なっかしい!!!あとすげー鈍感なの何??ロマンス小説のヒロインだから??? 

全編通してエリオット視点で物語が展開するので、エリオットが他人からどう思われてるか本人の主観以外のことはあまり分からないんですけど、男女問わずモテてる(いずれもなんかクセの強い奴にモテてる)ところもヒロインぽくて良きです。あとこれはロマンス小説だからなんだろうけど、他愛無い日常の中で突然えっちな気分になってムラムラして、ハッと我にかえって恥じらってること多くて可愛かったな。他の小説だとあんまり無いけど(この類の感情変化は得てしてロマンチックなシーン(山場なのでもったいぶられる)の導入に使われることが多い)逆にリアルで可愛い。

 

【タッカー】

FBI捜査官でエリオットの元同僚で元恋人。

名前が出てきた瞬間からもうドラマチックいっぱいの描写だったので『は〜ん。コイツが相手なのねエリオット』と即分かったんですけど、エリオットが自分の気持ちもタッカーの気持ちも何も理解してないことにビックリした。何で!?

かつての付き合いについて、エリオットが地の文で『少し距離が近すぎた同僚(つまりセフレ)』みたいに表現してるから、読んでるこっちはそうなんやね〜と流していたのに、いざエリオットと再会したタッカー、めちゃくちゃ動揺してるし、しきりに声荒げるし(エリオットに全部『怒ってる』で片付けられてて可哀想)どうにか危険から遠ざけようとしてるし、危ないところで助けに来るし(これはちょっとカッコよすぎ)明らかに……好きじゃん!!今も!!!

と言うか、エリオットだってタッカーとの別れをすごい引きずってて、名前を聞いた瞬間からずっとそわそわ落ち着かなくなってるし、何かにつけてタッカーとの夜を思い出してはムラッとしてるのに、それが愛故となかなか気づかないのマジで何故。欲求不満だろう、じゃないのよ。何でロマンス小説のヒロインて自分のことすぐ欲求不満にするんだ。そこ認めるのは潔いんかい!

 

 

『明らかにまだ好きあってるのに不幸な事故をきっかけに距離が遠くなった恋人同士』というふたりなのかと思わせておいて、エリオットはマジで付き合ってた意識ないらしく(まあ多分別れがつらすぎて、もともと恋人じゃなかったと自分に言い聞かせたとかだと思いますが)(オタクは受けのそういう心理に詳しいからな)、色々あったあとにタッカーの気持ちが分かるシーン本気でびっくりしてんのお前……!すぎた。タッカー可哀想すぎ😢あんなにずっと心配してたのも、全部迷惑がって怒ってると思われてたし……。

 

【その他の人々】

どいつもこいつも怪しい。全員犯人に見える。海外小説あるあるの登場人物の名前ぜ〜んぜん覚えられん問題、とりあえずエリオットとタッカーさえ覚えときゃいい!って作りになってたんで、それもありがたかった。人名を何となくの絵面で覚えてるのでエリオットのパパといけすかん美術教授の名前を永遠に混同してた……あとまったく名前を覚えてなかったヤツ(エリオットの友人のアイツ)が死んだ時、エリオットが酷くショックを受けてたのに「ハ?何?誰コイツ?」ってなってごめんね。てかクソみたいなネタバレだわね。ごめん。

 

【ストーリーについて】

2人が元サヤにおさまって、事件も一件落着してめでたしめでたし。というラストだと勝手に予想していたので、割と中盤らへんでエリオットとタッカーが和解したからちょっと驚きました。でも確かにいちゃいちゃシーンを投入するためにはあの段階で和解してないとダメだったのかも。付き合いはじめてからもまあまあの頻度で言い争ってるから「そういうカップルね、はいはい」となりました。てかあの〜、和解後初えっちの時タッカーがご無沙汰だと聞いて安堵してるエリオット可愛すぎなのですが???あと膝の心配したタッカーにどういう体勢がいいんだって訊かれてぽかんとしちゃうシーンも可愛かった。えっちで頭いっぱいかい!

 

ロマンス小説なのにちゃんとミステリーしてて、それもすごいなって思いました。生徒の失踪から始まって、親子間の不理解、人種差別、同性愛など社会的な問題を絡めつつ最終的に連続殺人鬼(しかもまあまあ邪悪なタイプ)につなげるの、ストーリーがシンプルに上手。犯人かと思わしき人間がころころ変わっていって、ていうか事件の様相も変わっていくから、ほぼ最後まで全然真犯人分かりませんでした(怪しい人間多すぎ問題)エリオットは膝に爆弾抱えてる設定があるから、追われたり逃げたりするシーンの緊迫感がやばくて、毎回ハラハラしつつ……ちゃんと助けが来たり、助けが来なくてもエリオットは自分で上手く立ち回れるヤツなんだけど……心配するよ……タッカーもしてるよ。

 

3巻まであるってことなので、今後ふたりがどうなっていくのかすごく楽しみです。

 

てかさぁ!!!タッカーて何歳!?エリオットとタメ?歳上?歳下?そういうとこオタクすごい気にするよ。何でエリオットそういうこと教えてくんないの?興味なくて知らんのか?(エリオットだからあり得る)2巻以降で分かるんかな……エリオットて自分が興味ないこと何も描写しないからな……。